「なぜあのとき、あの判断をしたのか」を後から思い出せないことがあります。判断そのものは覚えていても、その理由が消えている。これは記憶力の問題ではなく、記録の習慣の問題です。判断の理由を書き留めることは、振り返りを可能にするだけでなく、判断の質そのものを変えます。

記録しない理由

「忙しいから」「後で書こうと思っていたから」という理由が多いですが、もう一つ、「書くほどの判断ではないと思っていた」という理由もあります。しかし、後から問題になるのは、大きな判断より、小さな判断の積み重ねであることが多い。採用の基準、取引先の選び方、値付けの根拠。これらは「決めた」という記憶はあっても、「なぜそう決めたか」が残っていないことが多い。

記録することで判断が変わる

記録を前提にすると、判断の質が変わります。「後で書く」と思いながら判断すると、「これは書けるか」という問いが自然に生まれます。書けない判断は、根拠が曖昧な判断です。記録は、判断の後処理ではなく、判断のプロセスの一部です。書くことを前提にすることで、判断の前に少し立ち止まる習慣が生まれます。

何を書けばいいか

私たちが使っているテンプレートでは、四つの項目を書きます。判断の日付、その時点での前提条件、検討した選択肢、最終的な判断の理由です。長く書く必要はありません。箇条書きで構いません。大切なのは、「その時点で何を知っていて、何を知らなかったか」が後から読めることです。これがあると、振り返りが「反省」ではなく「学習」になります。

チームで使う場合

個人の記録は個人の学習に役立ちますが、チームで共有すると、組織の学習になります。「なぜこのルールがあるのか」「なぜこの取引先を選んだのか」が記録として残っていると、新しいメンバーが加わったときの引き継ぎが変わります。記録は、組織の記憶です。

意思決定の記録テンプレートは、このサイトから無料でダウンロードできます。まず一つの判断について書いてみることから始めてください。書いてみると、何が足りなかったかが見えてきます。